トラペジウムとニムロッド

人生は選択の連続である。

進学や就職、結婚など人生の大きな局面での選択もあれば、今日何着て行こうとか今日のお昼何食べようみたいな日常の選択もある。人は1日に選択できるキャパシティみたいなのが決まっていて、そのキャパシティを超えると正確な判断ができなくなるらしい。選べるというのは贅沢なことだけど、いい仕事をしようと思えば、できるだけ選択する要素は少ないほうがいい。有名な話では、スティーブ・ジョブズなんかは毎日同じ服を着ているけれど、あれなんかも、「服を選ぶ」という無駄な思考を省いていると言える。そういう意味では、今の社会は選択の要素がとても多くなっている。ネットやスマホの普及で、嫌でも情報が氾濫しているし、スマホをいじっているとそれこそ選択で頭をフル回転させているみたいなものだ。

僕の場合は、基本的に選択しない生活を送っている。朝昼晩のご飯は、全て嫁さんが作ってくれたものを食べているし、服は着る順番を決めている。空いてる時間はほとんど本を読むことにしているし、本当に仕事以外は選択することがない。

僕が好きな読者も、最近では本を選ぶという行為をなくしている。ブクログというアプリを入れていて、そこに表示される「話題の本」を、図書館で片っ端から予約する。予約した本が届いたら図書館に取りに行くだけ。この本はおもしろそうだなとか、この本のレヴューはどうだろうとか、まったく考えない。

この方法は、自分の興味のない本に出会えるというメリットもあるけれど、たまに失敗するデメリットもある。この前は、立て続けにくだらない本を読むことになってしまった。トラペジウムとニムロッド。トラペジウムは乃木坂46のメンバーとやらが書いた小説で、これがまったくつまらない。主人公がアイドルになるまでの過程を書いてるんだけど、まさに、過程を書いてるだけ。話に起伏も盛り上がりも奇想天外な展開もなくまったくつまらなかった。後からアマゾンのレヴューを見たら、やたらレヴューが高かったけど、ファンが読んでるんだろうか?ニムロッドは、芥川賞を取ったらしいけど、話がいろんな方向に飛んでいて、結局何が描きたかったのか理解できなかった。芥川賞を取ってるくらいだから僕の理解不足かもだけど、こちらも後からアマゾンのレヴューを見たら、賛否両論だった。

乃木坂と芥川賞。まあ、確かに「話題の本」ではあるわな。



死にがいを求めて生きているの(校正版)

僕が初めて読んだ朝井リョウの本が、MUTEのウミノさんに薦めていただいたエッセイ、「時をかけるゆとり」だった。

そんな朝井リョウが人間ドラマを描く長編小説。螺旋プロジェクトといって、8組の作家陣があるルールのもと、海族と山族というふたつの一族が対立する歴史を描いた競作企画のひとつだ。爆笑のエッセイ、「時をかけるゆとり」とは打って変わって、シリアスな内容。6人の視点で物語が進められるが、その登場人物の歩む人生や考え方が自分と重なり心に突き刺さる内容だった。

大学で音楽に主張を乗せるレイブと呼ばれる活動をする安藤与志樹。その活動をSNSにアップし、高校時代の同級生から反応があった。

「当時は自分を見下していただろうクラスメイトから、いいねがあった。…見返してやりたい。そんな気持ちの萌芽が顔を出した」

小さい頃から何をやってもうまくできなかった。うまくできない自分をみんなは馬鹿にして笑った。今に見ていろ、そんな感情が僕を支配するようになっていた。

「大して政治に興味がないくせにレイブやってたのって、生き生きとしてる自分を周囲に見せつけたかったからなんでしょ?」

いつも他人と比べていた。自分がどうであるかではなく、人がどう思うか?、そればかりを考えるようになっていた。

「李君の兵役を知ったとき、負けたって顔してた」

勝ち組、負け組という言葉が僕を支配した。とにかく僕は「勝ち」にこだわった。僕にとっては、勝っているか負けているか、それが大切になっていた。

番組の制作会社でうだつの上がらないディレクターとして働く弓削晃久。大学を卒業して就職せず、自分でドキュメンタリーを撮影し、成功を収める。

「大学を卒業するころ、これから社会に出る友人たちとは違い、すでに自分の能力が作品として評価されていた弓削は、周囲から一目置かれる存在だった。入社一年目から即戦力として働き続けていた弓削は、…などと愚痴る同級生たちに、一丁前にアドバイスを繰り出していた」

「今、かつての友人たちは多くの部下を抱える地位に就いている。弓削が今どんなものを撮っているかなんて、誰も興味を示していない」

誰よりも出世欲が強かった。いい大学を出て、マジメにしていれば普通に出世ができていたはずだった。どこで踏み外したのか?気付けば、周りは普通に出世しているのに、自分だけが取り残されていた。

小説に出てくる登場人物の考え方が、悩んでいる内容が、いちいち自分と比較される。自分だけではないのか?それとも、失敗を犯してしまう人間を描いた小説の登場人物がたまたま自分と同じような境遇だったのか?いずれにしても、それらの登場人物は転がる石のように、人生を転落していく結末を迎える。

どこかで見覚えのある風景。そうだ。池井戸潤の描く世界だ。池井戸潤の小説に出てくるサラリーマンも、同じように、社会のなかで、会社の中で出世や世間体に縛られ堕ちていく様が描かれる。

この本は奥深い。一度読んだだけでは理解できない深さがある。もう一度じっくり読みたい。自分のことをもう一度振り返る為にも。


死にがいを求めて生きているの

僕が朝井リョウの本を初めて読んだのは、MUTEのウミノさんに薦めていただいたエッセイ、「時をかけるゆとり」だった。

そんな朝井リョウが人間ドラマを描く長編小説。螺旋プロジェクトといって、8組の作家陣があるルールのもと、海族と山族というふたつの一族が対立する歴史を描いた競作企画のひとつだ。爆笑の「時をかけるゆとり」とは打って変わって、シリアスな内容。6人の視点で物語が進められるが、その登場人物の歩む人生が、考え方が自分と重なり心に突き刺さる。

大学で音楽に主張を乗せるレイブと呼ばれる活動をする安藤与志樹。その活動をSNSにアップし、高校時代の同級生から反応があった。「当時は自分を見下していただろうクラスメイトから、いいねがあった。…見返してやりたい。そんな気持ちの萌芽が顔を出した」。「大して政治に興味がないくせにレイブやってたのって、生き生きとしてる自分を周囲に見せつけたかったからなんでしょ?」「李君の兵役を知ったとき、負けたって顔してた」。

番組の制作会社でうだつの上がらないディレクターとして働く弓削晃久。大学を卒業して就職せず、自分でドキュメンタリーを撮影し、成功を収める。「大学を卒業するころ、これから社会に出る友人たちとは違い、すでに自分の能力が作品として評価されていた弓削は、周囲から一目置かれる存在だった。入社一年目から即戦力として働き続けていた弓削は、…などと愚痴る同級生たちに、一丁前にアドバイスを繰り出していた」。「今、かつての友人たちは多くの部下を抱える地位に就いている。弓削が今どんなものを撮っているかなんて、誰も興味を示していない」。

小説に出てくる登場人物の考え方が、悩んでいる内容が、いちいち自分に突き刺さる。自分だけではないのか?それとも、失敗を犯してしまう人間を描いた小説の登場人物がたまたま自分と同じような境遇だったのか?いずれにしても、それらの登場人物は転がる石のように、人生を転落していく結末を迎える。

この小説はとても奥が深くて、複雑に入り組んだ内容なので、改めてもう一度読んでみたい。






大人は泣かないと思っていた

寺地はるなさんの短編小説集。

昔は自己啓発系の本をよく読んでいたが、最近は、小説を読むのが好きだ。自己啓発系の本にも良い本はあるのだが、ハズレも多く、特に自分の自己主張をゴリゴリに押してくる飛び込み営業系は読んでいても疲れる。それに比べて小説は、自分以外の人生を経験できるみたいでよい。確かに小説にもハズレはあるのだが、僕の場合は、ミーハーなので、基本的にベストセラーとか、本屋大賞を取った本とかを読んでるのでハズレは少ない。

話が大幅にズレてしまったが、「大人は泣かないと思っていた」は、登場人物が何人かいて、それぞれの登場人物が主人公になって物語が語られる短編小説。その中の「あの子は花を摘まない」という小説は、40代後半で離婚し、旦那と子供を置いて一人暮らしをしている広海が主人公だ。広海の部屋の隣人は、30代で離婚はしていないが、同棲していた彼氏と別れて同じく今は一人暮らしをしている。広海が隣人と話をするシーンで、はっ!となった。隣人が彼氏と別れた理由を聞かれて、こう答える。

「一緒に暮らしていて、どちらも仕事をしているのに料理を作るのは常に自分だ、掃除も洗濯も自分がやっている、その不満を伝えれば、わかったよ、手伝うよ、と来るわけですよ。おかしいでしょう?自分が住んでる部屋の掃除だし、自分が使ったタオルや自分がはいたパンツの洗濯なのに、手伝うって」と。


言ってる・・・。


嫁さんがバイトを増やすと言った時、嫁さんの体調が優れない時、僕はいつも「手伝う」という言葉を口にしていた。子供が「ママ、お手伝いするー!」とか、仕事の終わらない後輩に「手伝おうか?」と言うのはよい。でも、夫婦は二人で家族を支えていくパートナー。それを普通になんの疑いもなく「手伝う」って言っていた。悪気はない。てか、悪気がないのが、余計にタチが悪い。

嫁に限らず、こういう空気の読めない発言をしてしまうことが僕には往々にある。自己中心、自意識過剰、自分本位のこの性格が人の気持ちを考えない発言となって出てしまう。

それでも、明日には「手伝う」って言ってしまうのだろうな。


時をかけるゆとり

めちゃくちゃおもしろかった!

朝井リョウの「時をかけるゆとり」。デザインユニット、MUTEのボケ担当、海野さんオススメのその本は、最年少直木賞作家である著者によるエッセイだ。

僕は小説も好きだが、小説家の書くエッセイは当たりが多い。

特に、

「時をかけるゆとり」朝井リョウ

「この話、続けてもいいですか?」西加奈子

「ビロウな話で恐縮です日記」三浦しおん

この3冊は鉄板だ。

僕はもともと読書家ではなかったが、10年ほど前に鬱になった時、すがるような気持ちで本に走った。鬱の辛さは会社の同僚や友人など、誰にも話すことができない。僕は自分の辛い想いを嫁さんにぶつけるようになっていた。ところが、嫁さんにもそんな僕を受け入れるのにいっぱいいっぱいになってしまい、嫁さんにも話すことができなくなった。ストーンと深い穴に落とされたような気持ちになった。

そんな時、たまたま子どもと行った図書館で、自己啓発系の本を手に取った。たぶん、人生が辛くなった時に読む本、みたいな本だったと思う。その本を読んでから、僕は自己啓発系の本を貪り読んだ。本を読むことで心が楽になった。それから、小説やビジネス本など、興味のある本をいろいろ読んだが、いろんなことに悩んでいる人は、この3冊を是非読んで欲しい。きっと、悩んでいることが馬鹿馬鹿しくなるに違いない。

人に合わせず、自分らしく生きることが、どれほど楽で、これでいいのだ!と思わせてくれる。

必読!


ふがいない僕は空を見た(ネタバレ)

図書館で借りたい本を検索機で探す。

借りたい本が全て貸し出し済み。かなり前に読もうと思っていた、ふがいない僕は空を見たを借りる。

小中高とイジメにあい、大学で声をかけられた男性と関係を持ち続け、好きでもない人と結婚したあんず。アニメとコスプレが唯一の愉しみのあんずは、街で見かけた斉藤くんに声をかけ、斉藤くんにコスプレをさせ、台本通りにセックスをするよう「買春」をする。

ふたりの行為は隠しカメラで撮られ、斉藤くんの学校にまでばら撒かれ、斉藤くんは次第に引きこもっていく。

斉藤くんの友達のセイタカは、幼い頃に父親が自殺し、実の母親も男を作って家を出る。残されたセイタカは自殺した父親の母であり、認知症のおばあちゃんを僅かなアルバイト代で養い、面倒を見る。

セイタカのバイト先の先輩である田岡さんは、医者の家に産まれ、有名大学を卒業して、出来の悪い少年少女達の為に勉強を教えることを夢見るが、少年に勉強を教えてあげると誘って裸の写真を撮り、児童ポルノ法違反で警察に捕まってしまった。

イジメ、引きこもり、買春、自殺・・・。ここまで複雑で暗く切ない人生の羅列は実社会ではなかなかないが、いずれも実際に社会にある問題である。

しかし、彼らの生き様に後ろ向きな姿勢はない。彼らが決して弱音を吐くことなく自分の人生と向き合っている描写もそうだが、助産婦として新たな生命の誕生と向き合う斉藤くんの母親の姿に、命の尊さを感じるからだろうか。

「子どもは親や環境を選んで産まれてくる」。

借りたい本がなくて、たまたま借りた本。彼らに比べれば遥かに恵まれた自分が人生に腐りかけていることに恥ずかしさを感じる。環境がどうであれ、現実がとうであれ、生きているならば、歩み続けるしかない。

恵まれているとは言えない。幸せとも言えない。それでも、僕は生きているんだ。

斉藤くんとセイタカが、担任の先生の妊娠したお腹を触ってはしゃぐ姿に、僕は静かにエールを送った。



シャイロックの子供たち

50ページほど読んで、あ、この本読んだわと気がついた。

図書館に行くと検索機で読みたい本を探す。その時は、読みたい本が見つからなくて、ふと返却BOXに池井戸潤のシャイロックの子供たちが置かれているのを見つけた。下町ロケットを読んでから、池井戸潤の本は好んで読んでいる。なかなか人気があって、ほとんどの本が貸出中になっている。ラッキーと思って借りてみたものの、だいぶ前に読んでいた。

シャイロックの子供たちは、下町ロケットとは違い、東京第一銀行長原支店を舞台に繰り広げられるなんとも哀愁が漂う人間模様を描いた短編集。出世と世間体とノルマに追われる悲しき人間の性が哀しみを帯びた文体で描かれる。

その中にシーソーゲームという話があって、なんとも言えない悲しさを帯びて幕を閉じる。

「花の咲かない人生というのもあるのだろうか。」シーソーゲームの一文である。誰もが世界にひとつだけの花だと槇原敬之は歌ったが、誰もが花を咲かせるとは限らない。花を咲かせることもなく、雑草として生きるものもあれば、本来なら美しい花を咲かせるはずが、咲かせる前に枯れてしまうものもあるだろう。

枯れてこそ美しい。自分はそんな花かもしれない。


人生に影響を与えた本10選

そんな読書家ではないけれど、他の人がやってたので、まとめてみた。


夢をかなえるゾウ/水野敬也

所謂自己啓発本を読み漁ったけれど、いろんな自己啓発本を1冊にまとめてくれてるみたいな本。トイレ掃除するとか、寄付をするとか、今でも実行している。


トヨタ式鬼十訓/若松義人

トヨタ生産方式の基礎を作った大野耐一の凄さが分かる。仕事に対する向き合い方も、この本で学んだ気がする。


生き方/稲盛和夫

僕がどん底だった時に救ってくれた本。ちょっと宗教チックだけど、人は何のために産まれてきたのか?、生きている意味みたいなものを教えてくれる。


反応しない練習/草薙龍瞬

実はこの本の内容はあまり覚えていない。ただ、図書館で借りて読んで、その後、この本は手元に置いておこうと思って買った本。仏陀のことを書いてる本だけど、宗教的な色合いが少なく、悩める時に読み返したい本。


器つれづれ/白洲正子

自分の周りにも器の好きな人はたくさんいるけれど、器、特に骨董との向き合い方を教えてくれた本。今でも白洲正子の考え方が自分の骨董を選ぶ際の基礎となっている。


下町ロケット/池井戸潤

池井戸潤の傑作。自分はエンジニアではないけれど、仕事に対する熱い思いが湧き上がる本。特にエンジニアであれば必読。


賭博黙示録カイジ/福本伸行

普段漫画は読まないんだが、自分の人生観まで変えてくれた漫画。この本を読んでから、自分の座右の銘がメメントモリになった。


デザインのデザイン/原研哉

デザインに対する考え方の基礎を教えてくれた本。この本を読むまで意匠という意味でしかデザインを捉えてなかったけれど、デザインの意味を再認識させてくれた本。


デザインの輪郭/深澤直人

この本もデザインに対する考え方を変えてくれた本だけど、どちらかといえば自分の生き方をデザインする方法を教えてくれた本。この本を読んで、ある意味デザインとの決別をさせてくれた本。


寂しい生活/稲垣えみ子

比較的最近読んだ本。世の中に便利なものが増えていけばいくほど、なんとなく生きにくい世の中になると感じていた時に背中を押してくれた本。迷っていた自分に精神的な豊かさを気付かせてくれた本。


こうして並べてみると、見事にベストセラーしか読んでないな!と笑けてくる。

人生に悩める人、仕事に燃えたい人、デザインの好きな人にはオススメです。


時給思考

時給思考という本を読んだ。

僕より16歳も若い若造が成り上がって偉そうなことを書いてる本だったが、最後のほうに良いことが書かれていた。

「自由を得るために大切なことは、次の3つです。/佑量椶魑い砲靴覆き⊆分のやりたいことを明確にする7われる勇気を持つ」(株式会社すばる舎発行 金川顕教著 時給思考より抜粋)

著者はこの本でTime is moneyではなく、Time is lifeであると書いているが、まさにその通りだと思う。僕らの命は無限ではなく、普段意識することなく、産まれた時から死へのカウントダウンが始まっている。だから、時間というのは命であると。

命にも等しい時間を、他人のために犠牲にしたり無駄にしている場合ではない。限られた時間を、いかに自分らしく生きるか。そのためには、自分のやりたい事をやるべきだ。人の目を気にしている暇はない。他人がどう思おうが、人に迷惑をかけなければどう思われたって関係ないと思う。

この本では、主に仕事について、収入を上げる方法について、自分がどうあるべきかが書かれていたが、時間が命であると考えるならば、他人の時間も自分と等しく尊い命であると考えなければならないと思う。友達や家族や会社の同僚など、自分の周りにいる人、もしくは、街ですれ違った人やたまたま同じ電車に乗り合わせた人達の貴重な時間を奪うようなことをしてはいけない。人に優しくするとか親切にするということは、その人の貴重な時間=命を尊重することでもある。そうやって考えることができれば、イジメや犯罪やなんちゃらハラスメントなんてことは起こらないはずだ。

自分の人生は自分のものであって、誰のものでもない。他人にどう思われようが、自分のやりたいことをやろう。それで人に迷惑をかけるとか不快な思いをさせてはいけないが、正しいことをしているのであれば、嫌われてもいいじゃないか。まあ、人には好かれた方がいいけど、全ての人に好かれることは、まずないんだから。ただ、他の人の時間も自分と等しく尊い命なのだと肝に命じておけば、人に優しくできると思う。


火車

読みたい読みたいと思っていた宮部みゆきの小説をようやく読むことができた。

今回読んでみたのは、「火車」。普段あまりミステリーなど読まないのだけれど、火車とはどういう内容なんだろうと読み進めると、借金で取り立てに追われて、まさに火の車となった二人の女性を描いた小説だった。以外とそのままなのね。ちなみに火車という言葉には、生前に悪業を重ねた罪人の死体を地獄に連れて行く妖怪という意味もあるらしい。

作り上げられた幸せをつかむために、カードローンを繰り返して自己破産する彰子と、親が背負った借金のせいで自分まで取り立てに合い人生を狂わされる喬子。借金で人生を狂わされた二人が歩む悲しい現実。

しかし、これは小説の中だけの話ではない。実際、現実として借金で苦しんでいるたくさんの人がいる。彼らが借金に苦しむのは、本当に彼らだけに責任があるのだろうか?「自分にも100万円の過払金が返って来ました!」などと爽やかに語っているCMを耳にするが、実際、そんな明るいものじゃないだろう。自己破産する時に彰子が弁護士に語った「私、ただ幸せになりたかっただけなのに、、、」という言葉が身に染みる。誰だって、ただ幸せになりたいだけ。別に贅沢をしたい訳じゃない。人が羨むような暮らしがしたい訳じゃない。ただ、普通の生活がしたいだけ。

かく言う我が家も住宅ローンで火の車だ。35歳で35年ローンを組んだから、70歳まで返済が続く。おー、怖っ!


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