拾う神あり

捨てる神あれば拾う神がいる。

先日、リビングで愛用していたBRAUNの掛時計、ABK31が壊れてしまった。ABK31はディートリヒ・ルブスのデザイン。まあ、たかが時計なので、修理すれば直るだろうとタカを括っていた。しかし、古いものだし、ドイツ製なので、もしかしたら簡単には直らないかもしれないと思い、念のため、デザイン通の友人に聞いてみた。さっそく、BRAUNの時計を専門に修理してくれるサイトを紹介してもらった。ところが、その会社に問い合わせたところ、古いもので部品がないので修理できないとのこと。

少し焦って、Facebookで直す方法はないか聞いてみた。いろんな方からご意見をいただいて、その中にムーブメントを交換すれば直るのでは?との意見があったので、今度は地元の時計修理専門店に聞いてみた。時計の後ろの写真を送って見ていただいたところ、なかなか手強いとの話。どうやら構造が普通の時計に比べて複雑で、直せるかどうかやってみなければ分からないとのことだった。

大切にしていた時計なのでなんとか直して使いたいが、直らないかもしれないとのことなので、ヤフオクで時計を探してみた。いろいろ見ているうちに、以前から気になっていたセイコーのQA480Nが、かなり状態のよいもので、即決4000円で出品されていた!

QA480Nは、よく学校などで使われている少し大きめの時計で、うちの会社の工場にも付いている。なんともアノニマスなデザインと、無骨な存在感がよい感じだが、あまりオークションで見ることもなく、古いものなので、出品されていても、錆びていたり、アンティーク時計のショップでも3万〜4万くらいする。それが、即決4000円で出ていたもので、さっそく落札させていただいた。

おまけに、壊れたBRAUNのABK31をヤフオクに出品したところ、ジャンク品であるにもかかわらず2800円で売れた。珍しいものなので、壊れていても、欲しい人はいるものだ。

QA480Nは、セイコー製だし、ムーブメントの交換も簡単にできそう。この時計は長く使えそうだ。


NLP、LSH、elements

声が出にくくなってから、人が集まるところへはなかなか行かなくなって、引きこもり状態だったんだけど、この連休にイベントが重なって、久しぶりに足を運んだ。

NLPのオープニングレセプションは、平城京に近く、朱雀門が見渡せるという最高のロケーションに、永富さんがニンキペン!の今津さんはじめ最高の面子で作り上げたというだけあって、流石の空間。永富さんが独立して忙しそうにしていた時に、まだまだこんなレベルで終わるワケはない!と半分本気半分冗談でハッパをかけたことがあったけど、正直ここまで行くとはご立派。朝のうちの静かな時間に行こうと思ったけど、朝からすごい人で、なんだか場違いな感じがして、地元で有名なドエルのマロンブッセをスタッフさんに預けてそそくさと帰ってきた。

http://www.newlightpottery.com/

今日お伺いした奥和田さんのLSHは、一人暮らしには贅沢すぎる空間。相変わらずうちの商品を採用してくれていて嬉しかった。森林食堂さんと西成のクラフトビールをタダでご馳走になっていい気分になっていたけど、西成のderailleur brew worksさんがビールをイメージしたポスターを飾っていて、それがすごく良くて、近々ネットショップを立ち上げるとのことだったので買いたいと思う。

http://derailleurbrewworks.com/ 

そのまま中津のpantaloonさんのelements2へ。pantaloonさんは、最近行けてなかったけど、すごいよかった。工業化以前、優れた道具や技術がなかった時代、そこにあるものを積み、束ねるという単純な行為で成り立っていたものを現代的に再解釈した展示で、アートとプロダクトと間のような、プリミティブとモダンの間のような作品が素敵すぎた。作家の方が製作工程でできたプロトみたいなものを販売していて、おまけに安かったのでプロトタイプの好きな僕は思わず衝動買い。帰ってさっそく部屋に飾ったら、一部欠けていてちょっとショックだったけど、プロトだから仕方ない。まあ、それも味のうち。その作品を作られた置田さんという方と話をしてきたら、ovest designをご存知で嬉しかった。

http://elements-p.net/ 

なんか、クリエイティブなものを見てると、NORDHARDWARESTANDARDSを真剣に再開してみたくなった。お金と仕事に余裕ができたら復活させよかな。

https://nrdhrdwrstndrds.tumblr.com/

さて、今日は下町ロケット見て、今日から俺は!見て、革命のファンファーレ読んで寝るか!


「自邸」へ

大阪で活躍する建築家、ninkipen!の今津さんのご自宅、「自邸」のオープンハウスへお伺いした。

箕面の山手、Googleマップを見ながら「自邸」を目指すが、途中、かなりきつい坂。はぁ、はぁ、言いながら坂を登る。

閑静な住宅街に違和感なく建つシンプルな外観の「自邸」に着く。僕は建築のことは、よくわからないので、偉そうなことは言えないけれど、外観や間取りは、気取りがなくシンプルに作られている。機能をそのまま図面にした感じ。最近は変わった間取りの建築も多いが、「自邸」はよい意味で普通だ。気取りがない分、材や収まり、仕上げなどは贅沢にこだわりが見える。僕は本職が金物屋だから思わず金物に目が行くが、金物ひとつひとつも美しい。照明はNewLightPottery、ファブリックはfablicscape。家具や雑貨も品がいい。

ああ、リフォームしたい。


Designing Humanity

京都工芸繊維大学に新しくできたKyoto Design Lab.のオーブンミーティング、Designing Humanityに参加してきた。

Kyoto Design Lab.は、社会の課題の発見と解決に取り組むインキュベーション組織。今回のDesigning Humanityは、昨今のAI化が進む中で人間性とは?を改めて問い直すオープンミーティング。

4つのテーマに基づいて、それぞれのスピーカーが約1時間に渡って問題提起し、それに応える形で参加型の討論が行われた。

13時から19時まで、6時間に渡る長丁場で、それぞれのテーマも1時間で語りきれないボリュームだったので詳しいことはここでは語れないけれど、なかなか聞き応えのある内容だった。参加していたスピーカーも、キュレーターやプランナーに加えて元引きこもりでホームレスの批評家やタトゥーの彫り師をしている美術家、不登校で中卒ながら起業した人などおもしろい方々が揃っていた。

一発目のテーマの途中で「つまんないんだよ。ここにいる人は、あんたの学生じゃないんだから」とスピーカーに噛み付いたおじさんがいたと思ったらDRAFTの宮田さんだった。

オープンミーティングだったから、参加者は自由に討論に参加できるんだけど、学生さんや若い人から積極的な意見が出されていて、若いのにしっかりしてるなー、と感心してしまった。

なかでも「機械に人は救えるか?」というテーマは、死にたいと考える人を救いたいという思いをもとに死という誰もが抱えるテーマを深掘りしていて、病気を経験した自分にとっても興味深いものだった。基本的には自殺をテーマにしているんだけど、自殺志願者が相談窓口に電話しても、受け手側の人手不足でなかなか繋がらない現状があるらしい。AI化が進んで、人工知能が人に取って代わろうとしている現代において、もしAIが人の代わりに悩みを聞くことができれば、少しでも人を救えるんじゃないか?みたいなことを発端にしているが、詰まる所は、なぜ死にたいと思う人が減らないの?、少しでも死にたいと思う人を救うにはどうすればいいの?、といった結局のところは「人= Humanity」に直結するんだと思う。

この議論は今後も飲み屋という場所を変えて引き続きオープンに続けていくということだったので、またぜひ参加したいと思う。


見立て、しつらえる

日曜日に堀江を歩くのは何年ぶりだろう。昔はこの近くで働いていたから、馴染みの風景だ。堀江公園を過ぎて、オレンジストリートの方へ向かう。なにわ筋を超えて少し入った通り沿いにそれはあった。

西天満にcredenzaというショップがある。オーナーの堀さんがセレクトしたセンスのよい雑貨や器、家具などが並ぶお店だ。そのcredenzaのポップアップストアが堀江の美容院の一角に展開されている。セレクトという言葉が好きではないという堀さんが、まさに「見立て、しつらえた」空間。

堀さんの考え方が好きだ。有名だとか無名だとか、古いとか新しいとか、そういう垣根を全て取り払って、堀さんが見立てたよいものが丁寧に空間にしつらえられている。僕自身が昔そうだったように、そしてデザイナーやブランドや作家ものが好きな多くの人がそうであるように、自分という尺度でフラットにものを眺めることのできる人は意外と少ない。その道を極めれば極めるほど、視界が狭くなる人も多い。

一見人付き合いが苦手で物静かに見える堀さんだが、話だしたらその熱い思いは留まることを知らない。店に着いてからの約2時間の間、時間が経つのも忘れるほどに話をした。

最近行けてなかった骨董市にも、また行ってみたくなった。「見立て、しつらえる」は14日まで。


house / atelier I

木村松本建築設計事務所さんのオープンハウスへ。

交野市の静かな住宅街に全面ガラス張りのファサードが開放的な外観が現れる。

独り住まいの作家さんのアトリエ兼住宅。道路に対して平行四辺形の形をしたその住宅は、潔いほどの構造現しの建築である。構造に最低限の仕上げの壁と余計なものを極限まで削ぎ落とした照明や水周りの設備。ローコスト住宅などとは決して一括りにできない、住まいとは何かを感じさせる、暮らしという人の営みを感じさせる住宅だ。

平行四辺形という形状に住宅を真っ二つに斜めに分ける階段は、空間を柔らかに分断し、空間に広がりを感じさせながら、決して狭さを感じさせることがない。

1階の奥に水周りをまとめ、浴室からは京の町屋のような庭園を眺められる。2階には茶室も設けられ、和と洋の空間が違和感なく交差する。

すでにお施主さんがお住まいの住宅は、無造作に置かれた家具や本や観葉植物などが空間にうまく馴染み、生活感が溢れるわけでもなく、スタイリッシュでもなく、絶妙に居心地のよい空間となっていた。

やはり、住宅は人が住むことによって育っていくのだ。住めば住むほど、住人の色に建築が染まっていく、そんな空間だった。


ソファがやってきた!

ソファが好きだ。

輸入家具の仕事をしてる時からソファが好きで、普通、家具好きはイスへのこだわりが強いが、僕の場合はソファだった。特にイタリアのブランドのソファが好きで、いつか自宅にお気に入りのソファを置くのが夢だった。

とはいえ、50万以上もするブランド物のソファなど買えるわけもないので、自宅では無印良品のソファを使っていた。しかし、かなりカバーも汚れ、クッションもへたれてきたので買い換えることに。

ちょうど20%オフセールをやっていたIKEAへ向かう。サイズ、価格、座り心地を確かめる。2〜3年前の自分では考えられないが、デザインは二の次だ。一番気に入ったのはTIDAFORSというシリーズ。ちょうどいい大きさで、座った時に体が包まれるよう。頭まで支えてくれる高めの背もたれ。体のラインに合わせて変形する形状記憶クッション。腕や頭を乗せても気持ちのよい大きめのアーム。デザイナー曰く、最高の座り心地を追求して作ったソファとのこと。まさに、人をダメにする2シーターソファ!

ところが、である。TIDAFORSを家に置いたところ、とにかくデカい!IKEAで見た印象と全然違う。しかも、新品のソファのクッションは固くて、あの包み込まれる感じはない。IKEAに置かれていたソファは、いろんな人が座っているから、クッションが柔らかくなっていたのか。。。まあ、慣れるまでしばらく我慢だ。

IKEAのソファは、基本とにかくデカいのだが、あの広い空間で見ると小さく見えるので、買われる方はお気を付けください。


metabolism

Glyph代表であり、コレクターとしても有名な柳本浩市さんの訃報から1週間近く経ちました。
昨日が通夜、今日が告別式だったそうで、FacebookやInstagramのタイムラインには柳本さんの急逝を惜しむ声があふれていました。
僕が柳本さんのことを知ったのは、デザインが好きな友人と情報交換をしている時に、柳本さんのブログ、metabolismを教えてもらったのがきっかけでした。
柳本さんは、その莫大なコレクションやあふれんばかりの知識で数々の伝説を作っている方ですが、その考え方は非常にフラットで、僕のようなものでもブログにコメントをさせていただいた時には、丁寧に返信をくださいました。僕のデザインに対する考え方の基礎はmetabolismで養ったと言っても過言ではないのですが、僕が柳本さんのブログを読むようになってからすぐに、残念ながらブログを書くのをやめられました(このころから、ブログではなくFacebookに移行されたようにも思います)。
数々の伝説の中でも、「柳本さんは1日1時間しか寝ないらしい」というのは有名な話で、確かDESIGNEASTで誰だったか忘れましたが、柳本さんと同じ部屋で泊まる機会があった時に、「今日こそ柳本さんが寝る現場を押さえてやろう」と寝ないで頑張っていたのですが、どうにも睡魔に勝てなくなって、一瞬意識が飛んだ瞬間、フッと柳本さんを振り返ると、「今、寝たよね?」と突っ込まれたという話を聞いて、ゲラゲラ笑ってしまいました。
本当に、ウソでしょ?という噂が実は本当なんです、というところが柳本さんのすごいところで、しかも、他の人だったら疑ってしまうことでも、柳本さんだから信じてしまうところもすごいと思うんです。
きっと、柳本さんが1日1時間しか寝ないという噂も本当で、だから46歳という年齢はあまりにも早すぎるんだけど、きっと誰よりも濃密な時間を過ごしてきたんだと思います。
どうかこれからは、1日1時間と言わず、ゆっくり休んでください。
ありがとうございました。

http://metabolism.jugem.jp/


Design&Craft

昔、ヘヴィメタルのバンドを組んでた頃に、「ヘビメタとパンクの違いが分からん」と言われたことがある。
僕は、「ヘビメタは曲から作る。パンクは歌詞から作る。」と答えた。この回答があっているかどうかは定かでないが、ヘヴィメタルが曲の展開に重きを置いているため度々クラッシックと比較されるのに対して、パンクはメッセージ性が非常に強い。
僕の周りにはデザインが好きな人やクラフト(作家もの)が好きな人がたくさんいる。デザイナーと作家の違いは読んで字のごとくで、デザイナーはデザインする人、作家は自分で作る人だ。東屋などでデザインを手掛ける猿山修さんは、デザイナーでありながら非常に作家的な作品を生み出す。単純にスタイリングをデザインするだけでなく、どこで(地方の産業とか)、誰に(作家や職人など)作ってもらうかまでをデザインしているからだろう。これは誰々がデザインしたからとか、どこの窯で焼かれたとか、どこどこの作家さんの手によるものだとか、そんなカテゴライズをぽーんと飛び越えた潔さがある。
ヘヴィメタルもパンクも、音楽という意味では共通だ。もともとロックとは自由の象徴のはずなのに、どうして人はこうもカテゴライズしたがるのだろうか?


bollard

岡山県の宇野港にbollardというお店がある。
こちらのウェブサイトがなかなかおもしろくて、「読み物」と「品物」をテーマにして、販売している商品についても、「商品説明」ではなくエッセイのように商品にまつわる背景などをつらつらと書き綴っていらっしゃる。
読んでいて面白いので、ほうほうと頷きながら、思わず「カートに入れる」ボタンをポチッと押してしまいそうになる。
僕がやっているサイトでは、扱っている作品についてくどくどと説明することを良しとしていない。以前、デザインが大好きだった頃、物と対峙する際に、「デザイナーは誰か?」、「ブランドはどこか?」、「グラフィックは誰がやっているのか?」といったことが気になってしまい、フラットな視点で物を見ることができなくなってしまったのである。
だから、僕のサイトで紹介しているデザイナーさんは、僕が好きなデザイナーさんで、それ以上でもそれ以下でもないし、ウェブショップで扱っている骨董も、僕が好きなものを扱っているにすぎない。
商品の説明を求められることもあるので、その時は、なるべく丁寧に説明をしようとは思うが、僕の説明とは関係なく、余計なうんちくは抜きにして、感覚で買って頂ければと思う。
ウェブショップのため、実際に見て、触れていただけないのが辛いところなのだが。
bollardさんは、その点、お仕着せな説明でなく、それでいて商品の魅力を丁寧に説明してくれていて、見習わなければと思った。
(画像はbollardさんのサイトから借用)

bollard.jp


 

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